[WBS] 生き残りをかけた銀行再編!低金利・人口減少にどう臨む?

ワールドビジネスサテライト(WBS)

首都圏を地盤とする東京都民銀行と八千代銀行、そして新銀行東京の3行が合併し5月1日にきらぼし銀行が誕生しました。

2年後に予定しているシステム統合や店舗の削減によって年間で約100億円の経費の削減を狙っているといいます。

銀行にとって超低金利の厳しい環境が続く中、生き残りを賭けた地方銀行の再編がいま各地で相次いでいます。

栃木県は足利銀行を傘下に持つ足利ホールディングスと茨城県の常陽銀行との経営統合、そして4月には三重県にある2つの銀行も経営統合しました。

そんな中、物議を醸しているのが長崎の十八銀行とふくおかフィナンシャルグループの統合延期です。

そこから日本の銀行が抱える問題の縮図が見えてきました。

株式会社十八銀行

およそ130万人が暮らす長崎県。

実は九州で最も人工の減少が早いと予想されています。

県内の金融事情に詳しい東京商工リサーチ、長崎支店の山田祐二支店長と長崎市内の繁華街を歩いてみると・・・

こちらに親和銀行があるが、道路を挟んで十八銀行がある。

隣り合って建っていたのは県内トップの地方銀行「十八銀行」と同じく長崎県を地盤とする「親和銀行」。

長崎県は親和銀行と十八銀行の2行が貸出金の約7割のシェアを持っている。その他には地方銀行が一つと各地の信金があるという程度。圧倒的にこの2つの銀行がシェアを占めている。

長崎県内にある金融機関の貸出金のシェアを見てみると十八銀行が約37%、次いで親和銀行が約33%となっていて2行が全体の7割を占めています。

しかし銀行は今、長引く低金利で融資をしても儲かりにくい苦しい状況が続いているのです。

十八銀行も例外ではありません。

銀行が本業の融資などで得る業務粗利益が5年前と比べ約25%減少しているのです。

こうした中、十八銀行は2016年2月に親和銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループとの経営統合を発表しました。

その狙いを十八銀行のトップに直撃すると・・・

「何のために経営統合が必要なのか?」

十八銀行の森拓二郎頭取は、

長崎のために存在感を持ってリスクマネーを供給したり、銀行として存続していくために合併して効率化を図って体制を整えようと。足元ではなくて5年後、10年後のことを考えている。

統合で重複する業務や店舗の削減などを図り、浮いた人員を地元でのサービス強化にあてたい考えです。

ところがふくおかフィナンシャルグループの柴戸隆成社長、

統合時期を延期します。

両社は2017年7月、統合の無期限延期を発表しました。

公正取引委員会

「待った」をかけたのは統合を審査する公正取引委員会です。

公正取引委員会の山田昭典事務総長は、

ふくおかFGと十八銀行の統合は以前から競争上の懸念がある。

公正取引委員会は統合によって銀行間の競争がなくなれば中小企業への貸出金利が一方的に引き上げられるのではないかと懸念しているのです。

金融庁

一方で銀行を監督する金融庁は統合に理解を示します。

金融庁の有識者会議は4月に全国の地銀は存続できるかの試算を盛り込んだ報告書「地域金融の課題と競争のあり方」を公表しました。

有識者会議の座長を務めた成城大学の村本孜名誉教授です。

日本の地図だが都道府県ごとに色分けしている。赤のところが厳しい、銀行が一つでも経営が厳しくなる可能性。

赤色で塗られた群馬県や山梨県など23の地域は、地銀が1行単独で存在しても本業では不採算な地域と分類されました。

長崎県も赤色で塗られています。

長崎では経営環境が非常に厳しくなっている。

さらに金融庁は4月26日に長崎県の企業関係者などを集めて説明会「地域金融行政に関する説明会」を開きました。

金融庁の西田直樹審議官は、

地域経済に適切な機能を発揮できる金融機関が存在することは重要。経営統合もそのための一つの選択肢

競争の視点から統合に難色を示す公正取引委員会とは対称的な姿勢です。

地域の企業はどう受け止めているのでしょうか?

建設業の経営者は、

このままでは両行共倒れになってしまうのではないか。健全なうちに一緒になるのが筋。

橋本興産株式会社

こちらは長崎市内で電線やケーブルを扱う商社です。

社長の橋本篤德さんは両社の統合に賛成しています。

AIやIoTなどの設備投資を行ったり、新分野への挑戦や販売網を広げることを考えると統合で健全な銀行ができるのは経営者にとって有利。

一方で不安もあります。

十八銀行と親和銀行は統合を認めてもらうため、企業向け貸出金の一部を他の銀行にゆずりシェアを下げることを検討しています。

ただ、お客様にとっては取引銀行が変わることを意味するため、同意が必要です。

銀行さんとはずっと68年間一緒にやってきた。急に「そこの銀行ですか」と言われても違和感がある。

こうした中、長崎県内の市長たちは3月に公正取引委員会と金融庁に対して1日も早い経営統合の実現を要請しました。

長崎市の田上冨久市長は、

現在も視点やATMがなくなっている。人口減少で将来どうなるのか不安がある。一番恐れるのはしっかりとした金融インフラが地方から消えてしまうこと。

国はどうするのか?

4月12日、菅官房長官は、

人口減少下において地域金融のインフラサービスの確保は重要であり政府全体で議論する必要がある。

S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社

地方銀行に詳しい専門家は長崎の事例は全国の地銀が抱える問題をはらんでいると指摘します。

S&Pグローバル・レーティングの吉澤亮二シニアディレクターは、

地銀は収益性に苦しんでいるので経費削減の意味で経営統合が迫られている。その中の選択肢の一つが経営統合なので、この選択肢が挟まるかどうか着目している。地銀全体の問題を表した縮図だと思っている。